キノコ最前線 ブラックマヨネーズ編


皆様きのこが、こんなにもこんなにも美しいのか訳を知りたくないですか?
ズボリこういう訳なのです、きのこはこの世の中で汚いとされているものを
誰よりも誰よりもよく知っているからなのです。美の世界と醜の世界は、すぐおとなりなんですから。という訳で今日はブラックマヨネーズの登場です。彼らの栄養源は見た目におけるコンプレックスです、向って右側の吉田さんの得意技はネガティブシュミレーション、そうです眠れない夜誰もが陥ってしまう、ああなったらどうしよう、こうなったらどうしようの恐怖のネガティブスパイラル。
2005年M1グランプリで優勝の瞬間、ネガの世界の住人だった彼らはネガとポジをひっくりかえしたのです、美しい優勝でした。

話はきのこに戻りますが、相反するとされるモノの間を無邪気にチョロチョロするきのこは、私たちにヒントを示してくれています。ズボリ相反する世界に境界線なんてないんだってことを!生きにくいこの時代の突破口それはきのこに他ならないのです。

※「ズボリ」はブラマヨの造語です。

CRAZY MUSH ROOM

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皆様、素敵な催しのお知らせです。「行き過ぎたきのこ愛好家が引きこもりの末に作り上げてしまった禁断の書斎”CRAZY MUSH ROOM”」展と題された、きのこ好きなら見逃すことが決して許されないイベントが、3月18日より渋谷の本屋さんで開催されます。

無類のきのこ愛好家の顔を持つ、写真評論家の飯沢耕太郎さんが、何年もかけて集めたきのこグッズを、3月16日よりSPBS店頭、書斎スペースにて大公開。店内の書斎がきのこだらけの「CRAZY MUSH ROOM」になります。同スペースでは、きのこ関連書籍に加え、point of view co.,ltd.がキュレーションしたアーティストによるきのこ作品を展示販売いたします。旬のアーティストたちの独創的なきのこ達がおりなす、まさに「禁断の書斎」。満開の怪しさをお楽しみください。

ですって。そしてなんと、ここ見てください。そのきのこも協力させていただいてるんです!「どのような協力をしたのか」ですって?そんなこと会場に行って自分の目で確かめてください。

キノコ最前線 黒澤かずこ編

きのこ好きの皆様いかがお過ごしでしょうか?

皆様も大好きなきのこ画家の小林路子さんが「きのこの絵本」の中で

植物の枯れた葉や木、動物のフンや死骸など、いらなくなったものをたべて分解しているのが、きのこをふくむ菌類なのです。ものが腐るのは菌類が食事をしている姿で、きたなく見えるかもしれませんが、実は、自然をそうじしてきれいにしているところなのです。

そのきのこはこの文章を読んでとても分解という言葉が大好きになりました。
分解ということもう少し拡げて捉えてみると、世の中の日の当たらない部分や人間の影の部分を栄養にして、それを笑いに変えてしまうイコール花を咲かすことは分解のひとつだと思うんです、よってお笑い界にキノコ的な人が多いのはもっともな気がしてきます。という訳で今日は黒澤かずこさんの登場です。黒澤さんは独自のアンテナでオトやコトバをキャッチしているようです、そして原曲、日本語、もろもろを粉々に分解し、とんでもないコトバを紡いでしまうんです、こんなこと分別があってはできるもんじゃありません。黒澤さんは生まれたての赤ちゃんのような耳を持っているのです、素晴らしい!
黒澤さんは私生活もキノコ的です、部屋はごみだらけでラジオをこよなく愛し無口な方なんですって、光と影の世界をいったりきたりの黒澤さんは、お笑い界の国のアリスです。そのきのこ応援しています!

奇病日記 10月30日

この前のそのきのこさんとは別人のように、今日は何か言いたげに大きな荷物を抱え店に入ってきた。椅子に座るなり、マスターには分解者がどういうものか説明しておこうと言った。世間ではキノコ病と言っているがと付け足した。どうもそのきのこさんはキノコ病よりも分解者という言葉を気に入っているようだった。

新しい世界の入り口それはキノコとの出遭いの時、正確にはキノコは美しい、キノコが好きだと自覚できた時だと言い、分解者の好きなものは、分解者を中心にきれいな弧を描くのだと言う。キノコとの出遭いによって、今までバラバラに思えた自分の行動、例えば、壁に貼ったままの新聞の切抜きだとか、なぜか鮮明に覚えている言葉であるとか、くり返し聴いていた音楽なんかもそうで、それらは胞子のようだと言い、それらもまたキノコのように地下で菌糸が繋がっているように繋がっている、それぞれが意味を持ち色づき始める、それは胞子が、時間を経てキノコの花を咲かすにそっくりだと言う、自分の好きなものの輪の中心に立ってみると、今まで好きだと思っていたもの達はキノコを誘引するものであることが、そしてそれらがキノコの出現をいまかいまかと待ちわびていたことが分かる、完全にキノコと出遭うことがプログラムされていたことが分かると言うのだ。これを奇跡といわずにいられるかと、そのきのこさんは大声で言った。

急にそのきのこさんは小声になり、この分解者のつくる輪には、独特の癖のような法則があり、今一人で研究しているのだと言った。「ミラクルアイテム」を知っているかと聞いてきた、答える間もなく、ミラクルアイテムそれは私が考えた言葉なのだと自慢げに言い、ミラクルアイテムはキノコを誘引するアイテムのことで服装や身に着けているものといった、目に見えるアイテムの他に、見えないアイテムもあると言う、コトバ、オト、ニオイはキノコととっても仲良しなのだと言い、なにを隠そう、このミラクルアイテムを研究し、潜伏中の分解者を発見し、キノコの花を咲かせることこそが、そのきのこに託された使命なのでありますと言った時、そのきのこさんは椅子の上に立っていた。私は危ないので椅子に座るようにすすめるとそのきのこさんはみるみる不機嫌になった、渋々座ったそのきのこさんの機嫌をとろうとキノコ病は治るんですか?と質問したみた、そのきのこさんの顔にパッと赤味がさした。菌輪はフェアリーリングとも呼ばれていて妖精たちが踊った足跡といわれていて、その輪の中に入った人は出てはこれないのだと嬉しそうに言い残し、はずむような足取りで帰っていった。そのきのこさんは大きな荷物を置いていってしまった、その中には色とりどりのキャンディーやお菓子があふれんばかりに詰まっていた。

私は試してみたくなっていた、私がキノコ病である訳を。気に入っているレコードを並べてみた、それだけではおさまらず、仕事はそこそこに押入れの奥から、30年以上開けていなかったダンボール箱を引っぱり出し、幼少の頃のおもちゃや子供向けの雑誌や絵本などを夢中で探っていた。ふと部屋を見渡すとレコードやビー玉やコンパスや虫めがねなどで作られた弧の中に私は立っていた、窓の外には夕焼けみたいな赤い朝の空がひろがっていた。ひどく懐かしいような、うれしいようなこんなふうな赤い空をいつだったか見たことがあったような気がした。そしたら大きな欠伸がひとつ出た。

kinoko200932 018