キノコ最前線 いしいしんじ「ある一日」編

むっむ!きのこ文学名作選でもおなじみのいしいしんじさんが、またしても・・・

「ある一日」の出来事に「慎二」と「園子」の過去の記憶を重ねさせ、自由に空間を行き来し、食事やウナギやきのこついての文明論的な記述を差しはさみ、生命の驚異を言葉でたぐり寄せていく。

あぁ明日新潮買いに行きます!

Where is the forest of Sonokinoko?

”廃墟の聖地”と称される軍艦島です。きのこは動物でもなく植物でもなく、男でもなく女でもなく境界線上の生き物です。この軍艦島もまた境界線上に位置する島であることをご存知でしょうか?

自然界のサイクルは生産(植物)→消費(動物)→分解(菌類)→生産(植物)とグルグルとまわることはご存知だと思うのですが、時代もまた生産→消費→分解→生産と同じようにグルグルまわります。生産の時代は工場からモクモクと煙が立ち昇り同じ形・同じ大きさ・同じ色の商品がベルトコンベアーで運ばれる様なんかをイメージしてください、消費の時代は真昼間みたいな深夜や、トラックで運ばれてくるごみが山のように積み上げられる様なんかをイメージしてください。

私たちが分解時代の入口に立っていることは皆様お気づきのことと思いますが、では生産時代のはじまりはというと?そうなんです!戦後ということになります。では生産時代と消費時代の境目は?そっ!そうなんです!エネルギーが石炭から石油へとシフトした時といえるでしょう。近代を根底から支えたエネルギーの為だけにつくられた炭坑の島、軍艦島は、ちょうど生産時代と消費時代の境界線上に残された”聖地”なのです。

軍艦島 145
”近代を根底から支えた”と言われるように下の図を見て下さい、図の右上の小さい黄色の所が見える部分の軍艦島です、軍艦島の本当の姿は、このように見えない部分(海底)だということなんです、このような点においても非常にキノコとよく似ていますよね。

1891年から1974年の閉山まで約1570トンもの石炭を採掘した「ヤマの男」たち。海底炭坑である端島での採掘作業は、海面1000m以上の地点にまで及びました。勾配はきつく、気温30℃、湿度95%という悪条件のもと、ガス爆発など常に危険と隣り合わせの仕事はとても過酷なものでした。

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聖地は2つの世界がであう場所・・・

聖地は2つの世界がぶつかる場所・・・

聖地は2つの世界が交わる場所・・・

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エネルギーの転換点である今年、この2011年に訪れてみたかったのです。
なにか感想をと思うのですが、ためらわれるのは、ここが聖地だからなのかもしれません・・・

Where is the forest of Sonokinoko?

そのきのこが生まれた森
私達が求めてやまないもの、それはまだ見ぬ世界。その世界は日常のふとした隙間から姿を現わします。手を伸ばそうとすると私達を拒絶するかのように扉を閉じて遠くへいってしまいます。きのこだけが知っています。きのこのむこうに拡がるその世界を。目を閉じてみつめてください。耳をふさいで歌をきいてください。風と光が集まるその場所でそのきのこは生まれました。