Toadstool
裏返しってことでこんな流儀があるのですって!
茂木健一郎さんの今日のブログより。

お風呂の話をしたいたら、となりにいた佐々木厚さんが、「茂木さんはねえ、旅行で、朝、下着がないことに気付くと、その場で洗うんですよ」と暴露した。「そうして、しぼって、濡れたまま履いてしまうんですよ。」

実際そうである。ぼくは、下着にせよ、靴下にせよ、前の日に着たのをそのまま履くよりは、せっけんでごしごし洗ってしまって、しぼって、そのまま履いてしまうことを好む。

ズボンや靴が少々濡れるが、歩き回っているうちにかわいてくる。そういうと人に驚かれるが、そっちの方が気持ちがいいのである。

そうしたら、白洲信哉の目が光った。

「なんでそんなことするんですか?」と信哉が言う。

「次の朝、履く下着がなかったら、裏返せばいいじゃないですか?」

「ん?!」

ぼくは、相手から思いもかけない言葉がでてきて、絶句した。

「裏返すって・・・それじゃあ、今度は表がキタナイじゃないか。それが、ズボンにとかに移ったりするじゃないか。」

「普通に履いていれば、そんなに汚くないですよ。」

どうも、白洲信哉は、「昨日おふろに入ったから、今日はおふろに入る日じゃない」と言ったり、自分のからだが基本的にきれいなもんだと思っている節がある。

「そうか、裏返すのか。それじゃあ、また次の日下着がなかったら、どうするの?」

「そんなもん、簡単ですよ。また裏返して履けばいいんじゃないですか。」

「でも、そうすると、もとに戻っちゃうよね。」

信哉は黙っている。

私はおかしくなってしまった。ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」で、帽子屋がお茶会をしていて、「汚れたらどうするんだ」とアリスが聞いて、「隣りの席に移る」と帽子屋が言い、「それじゃあ、一周して元の席に戻ったらどうするのか?」とアリスが聞くと、帽子屋が「話題を変えようか」とごまかす。

あのユーモアある会話を思い出した。
 
そういえば、白洲信哉は、アリスが探検する「不思議の国」にいてもおかしくない雰囲気を漂わせているゾ。

ぼくはどうしても確認したくなって、改めて聞いた。

「靴下も同じ?」

「当たり前じゃないですか。裏返して履けばいんですよ。」

うーん。論理明快。しかし、なんだかヘンダ。

白洲信哉の「裏返し」の流儀。

世界は深い。私たちが思っているよりも、ずっとずっと深い。

ふふん~こういうのキノコ的!
裏の裏はただの表だったりして~♪こんなのあったような?