きつねのちゃぶくろ

神さまについては
彼女はさんざん苦労したつもりだった。
宗教詩人として
文芸界ニュースのはしっこにやっと載るほど
彼女は有名になったから。
精根はたして六十三年
きつねのちゃぶくろ
の群生を見ていて養老院の庭で ぽっくり倒れた
ミス・シドンズ
その名を知る人ぞ知る。
遠縁にあたる歯ブラシ屋のハメット氏は
スノウマン印特製歯ブラシの包み紙に
彼女の宗教詩(中でも一番短い)一篇を印刷することを
神かけて誓った。