ねずみときのこの共通点


「シオドアとものいうきのこ」でおなじみのレオ・レオニの絵品「どうするティリー」の名シーンです。そのきのこはこの場面大好きでポストカードを部屋に貼ったりしていたのですが最近になってこの本に登場するティリーはベルリンの壁が崩壊した年の絵本で、ティリーは東西ドイツの統一のシンボルだと知りました。
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いつも当たり前のようにそこに存在していた壁。誰も疑問を持たなかった存在だけど
ある日ティリーだけは向こう側を夢見て、壁を越える方法を模索し始めます。
いろいろトライしてがんばったけどうまく行きませんでしたが、
ふとした時にミミズを見てヒントを得、壁の下を掘って向こう側にたどり着くという話。

この本の原作の初版は1989年ですが、ベルリンの壁が崩壊したのと同じ年。
レオニはユダヤ系ということでファシストのあおりを受け亡命しているようなので
私は、これはちょうど壁崩壊のうわさがささやかれていた頃に
レオニが希望を持ち続けることの大切さを思って描いたのではないかなと思いました。
壁の向こう側にいたのは自分と同じようなただのねずみだった、というのはつまり
壁で隔てられた向こう側とこっち側(東西ドイツ)には何の違いもないじゃないか
みんな同じただのねずみじゃない!というレオニの声が聞こえるようです。

(アマゾンのレビューより)

きのことねずみの共通点それは境界線を行ったり来たりできる選ばれし生き物だということです。そして分断された世界を繋ぐことだってできると感じさせてくれるなんとも魅力的な生き物です。