奇病 うたかたの日々(肺に蓮が巣食う病い)

loutus flowers

裕福な青年コランと美しく繊細なクロエ、二人は出遭い盛大な結婚式を挙げる幸せに包まれる二人にクロエの肺に睡蓮が巣食うという奇病が・・・
フランスの作家ボリス・ヴィアンの「日々の泡」原作を漫画家の岡崎京子さんが描かれています。コランの発した情熱の水蒸気が小さなバラ色の雲になり彼らをすっぽりつつんだ。中に入ると熱くシナモンシュガーの味がしていた。これさえ読めば20世紀のフランスにひとっとびです。ところでそのきのこはフランスに行ったことないんですが。奇病相哀れむということで・・・

かすかな光へ

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今日の朝日新聞にノーベル賞で話題のオワンクラゲの写真ときのことも関わりの深い谷川俊太郎さんの詩が掲載されていましたので紹介させて頂きます。

かすかな光へ

谷川俊太郎

あかんぼは歯のない口でなめる

やわらかい小さな手でさわる

なめることさわることのうちに

すでに学びがひそんでいて

あかんぼは嬉しそうに笑っている

言葉より先に 文字よりも前に

波立つ心にささやかな何故?が芽ばえる

何故どうしての木は枝葉を茂らせ

花を咲かせ四方八方根をはって

決して枯れずに実りを待つ

子どもは意味なく駆け出して

つまづきころび泣きわめく

にじむ血に誰のせいにもできぬ痛みに

すでに学びがかくれていて

子どもはけろりと泣きやんでいる

私たちは知りたがる動物だ

たとえ理由は何ひとつなくても

何の役にも立たなくても知りたがり

どこまでも闇を手探りし問いつづけ

かすかな光へと進む道の疲れを喜びに変える

老人は五感のもたらす喜怒哀楽に学んできた

際限のない言葉の列に学んできた

変幻する万象に学んできた

そしていま自分の無知に学んでいる

世界とおのが心の限りない広さ深さを

・写真は新聞に掲載されているものとは異なります。

キノコ最前線フェルディナン・シュバル

800px-facteur_cheval_-_facade_est 1879年フランスのドローム県オートリーブで一人の郵便配達夫が石につまづいた。彼の名はフェルディナン・シュバル。その日から彼は郵便配達の仕事を続けながらも石拾い、石積みに没頭していく。1912年石につまづいてから33年の年月が経っていた、シュバルの奇妙な素晴らしい理想宮は完成した。石に選ばれし者フェルディナン・シュバル。シュバルはこれほどまでに素晴らしい建築物をこの世に残してくれました。そのきのこはシュバルが残してくれたものはもう一つあるって思います。人がある出逢いというものによってどれほどのものを生むのかということ、彼は建築の教育を受けた人ではなかったといわれています、ただ配達する絵葉書や切手を熱心にながめていたと・・・、このようにして出来たシュバルの理想宮を前に誰しも子供の頃なにかに夢中だった自分にもう一度出逢えるような、そしてキノコにも同じ力があると思えてなりません・・・