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素敵なきのこのフック頂きました。なにをかけるようかと考えていたら、この新聞の切り抜きのことを思い出しました。

私の頭の壁には、素っ気ないベニヤ板が一枚張り付けられている。そこに規則正しく何列もフックが並んでいて、一つ一つに巾着袋が引っ掛けてある。子供の頃着ていたブラウスやパジャマの生地で作った、小さな巾着だ。その袋の一つが本一冊分の記憶になっていて、好きな場面、登場人物、台詞などがビー玉の形になってしまわれている巾着袋の口さえ開けば、いつでも色とりどりのビー玉を取り出し、好きなだけ掌で転がしたり、頬ずりしたり、光にかざしたりできる・・・。私にとって本を読み返すとは、つまりこういう作業なのだ。

(毎日新聞の楽あれば苦あり 小川洋子より)