今日は非常にキノコ的な場所、大阪は飛田新地より『鯛よし百番』の登場です。ここはかつて遊郭だったところで殆ど当時のまま残され、今では料理屋として営業されています。
吉原炎上の岸田今日子さんのナレーション
男が通う極楽道、娘が売られる地獄道
の部分が頭の中を何度も繰し返し流れます、ちょうど時間は日の入りで不思議な時間帯、さあ門をくぐってみましょう。
一歩足を踏み入れると、日光の陽明門もどきや、京都の三条大橋もどきがお出迎え、ここで既にホントとウソがごちゃまぜになってきました。
太鼓橋はフェアリーリングと同じく、こちらの世界と別世界を繋ぐ役割があるようです。さあ渡ってみましょう。
襖絵が、ひどく色褪せていたり、破れていたりするのが一層当時の華やかさを想像させます。建物は中庭を囲むようにつくられてあるので、極彩色の内装の中を進んでゆくと、なんだか洋服を着ていることさえ滑稽に感じられたりしてきて、どうも時間軸がごちゃまぜになってきたようです。なんだか不思議の国のアリスになったみたいです。
紫の絨毯がいよいよ妖しさを増していくようです、さあ二階へ上がりましょう。
この襖の中で、かつての様々な人の様々な想いが、交錯したであろうことを感じずにはいられない濃密な空間です。
真も虚も
男も女も
盛も衰も
美も醜も
快も苦も
相反する世界が入れ替わり立ち替わり、顕われては消えるこの場所は非常に非常にキノコ的です。
赤い提灯の向こうには、キラキラの高速道路と高層ビルが見えました。
いつの間にか戻ってきてしまったようです。