読む人の眼は うごめく文字の森に分け入って行く 読む人の耳は ページに降るひそやかな雨音を聞く 読む人の口は なかば開かれ言葉を失い 読む人の指は 気づかずに主人公の腕をつかんでいる 読む人の足は 帰ろうとして物語の迷路に迷い 読む人の心はいつしか見えない地平を越える