森へ

Roridomyces roridus

読む人の眼は
うごめく文字の森に分け入って行く
読む人の耳は
ページに降るひそやかな雨音を聞く
読む人の口は
なかば開かれ言葉を失い
読む人の指は
気づかずに主人公の腕をつかんでいる
読む人の足は
帰ろうとして物語の迷路に迷い
読む人の心はいつしか見えない地平を越える