きのこの匂いについて

お寺って不思議な場所です、特にそんなことを感じる行事(報恩講)が11月に行われたのです。
20101123 022

20101124 011

20101123 010

カビや茸の匂いーこれからまとめて菌臭と言おうーは、家への馴染みを作る大きな要素だけでなく、一般にかなりの鎮静効果を持つのではないか。すべてのカビ、茸の匂いではないが、奥床しいと感じる家や森には気持ちを落ち着ける菌臭がそこはかとなく漂っているのではないか。それが精神に鎮静的にはたらくとすればなぜだろう。
 菌臭は、死ー分解の匂いである。それが、一種独特の気持ちを落ち着かせる、ひんやりとした、なつかしい、少し胸のひろがるような感情を換気するのは、われわれの心の隅に、死と分解というものをやさしく受け入れる準備のようなものがあるからのように思う。自分の帰ってゆくかそかな世界を予感させる匂いである。

幼い頃からお寺って不思議だとは感じていましたが、ずっと言葉にできなかったおもいが、この中井久夫さんの文章だったのです、自分のために書かれているのかって思ってしまった程でした。だから『キノコの不思議』は大切な本なのです。

キノコ最前線 文學界12月号

kinoko20101120 001
12月の文學界、飯沢耕太郎さんのきのこ文学の方へは毒きのこ殺人事件でございます。(あぁ〜はやいですねはやいですね)

きのこの世界も人間の世界も、毒があることで多様性が保たれ、創造的な刺激を与えてくれるといえそうだ。

この部分、この部分そのきのこはメモりました、メモしたり、折ったり、線を引いてみたりする時、その言葉は自分にとっていつか必要になる時が来るって予感するからなんですよね、きっとね。いつかね。

ハイホーハイホー

kinoko20101120 002
白雪姫のお皿です。素敵でしょ。
フランフランで見つけました。クリスマスの限定発売のようです。いけませんね、この限定ってやつは。
サイトも素敵です。
なんだか慌ただしくなってきましたが、そのきのこはこの動画の中にきのこがいくつ出てくるか数えたりして過ごしたりしています。

Where is the forest of Sonokinoko?

今日は非常にキノコ的な場所、大阪は飛田新地より『鯛よし百番』の登場です。ここはかつて遊郭だったところで殆ど当時のまま残され、今では料理屋として営業されています。
kinoko20101118 045
吉原炎上の岸田今日子さんのナレーション

男が通う極楽道、娘が売られる地獄道

の部分が頭の中を何度も繰し返し流れます、ちょうど時間は日の入りで不思議な時間帯、さあ門をくぐってみましょう。
kinoko20101118 023
一歩足を踏み入れると、日光の陽明門もどきや、京都の三条大橋もどきがお出迎え、ここで既にホントとウソがごちゃまぜになってきました。
kinoko20101118 026

太鼓橋はフェアリーリングと同じく、こちらの世界と別世界を繋ぐ役割があるようです。さあ渡ってみましょう。

kinoko20101118 013
襖絵が、ひどく色褪せていたり、破れていたりするのが一層当時の華やかさを想像させます。建物は中庭を囲むようにつくられてあるので、極彩色の内装の中を進んでゆくと、なんだか洋服を着ていることさえ滑稽に感じられたりしてきて、どうも時間軸がごちゃまぜになってきたようです。なんだか不思議の国のアリスになったみたいです。
kinoko20101118 021
紫の絨毯がいよいよ妖しさを増していくようです、さあ二階へ上がりましょう。

kinoko20101118 018

この襖の中で、かつての様々な人の様々な想いが、交錯したであろうことを感じずにはいられない濃密な空間です。
真も虚も
男も女も
盛も衰も
美も醜も
快も苦も
相反する世界が入れ替わり立ち替わり、顕われては消えるこの場所は非常に非常にキノコ的です。
kinoko20101118 019

赤い提灯の向こうには、キラキラの高速道路と高層ビルが見えました。
いつの間にか戻ってきてしまったようです。