万物は常に流れ動いていて、人は生よりも死に近い。しかし、そんな世界を提示しながら、小説に暗さはなく、むしろ軽やかな雰囲気が漂う。それは、多様な世界や人間に対して向けられる、作家自身の優しい眼差しのためだろう。本作ではキノコが重要なモチーフになっているが、動物でも植物でもなく、死んだものの上に命を紡ぐこの菌類を、世界の曖昧さや多様性を認める、こうした寛大さのシンボルと捉えられるかもしれない。「(訳者あとがき)より」

豊かな五官と詩情をもって、歴史に翻弄された土地の記憶を幻視する。現代ポーランド文学の旗手による傑作長編
国境の町、物語る土地の記憶

この本を読んでこの物語が生まれたポーランドに行ってみたいって思ったのが理由のひとつなんです。明日は歴史に翻弄された国ポーランドについて見て頂きたいと思います。