『不思議の国のアリス』は、イギリスの数学者にして作家であるチャールズ・ラトウィッジ・ドジソンが、「ルイス・キャロル」の筆名で1865年に出版した児童文学です。主人公の「アリス」がうさぎを追ってラビットホールに落ち、そこで奇妙な出来事やキャラクターに遭遇し、パラドクスが混在したファンタジーの世界を冒険する物語。本文には、パロディ(なぞなぞ、ゲーム、駄洒落)が多く含まれ、言葉遊び、論理学、夢(精神分析)に関する多くの論点をはらむ作品として、世界文学史上で特筆される作品となっています。

突然現われる登場人物や、意味が分かるようで分からない言葉。それらは非現実ではなく、当時の子供の目線を具現化したもので、夢とユーモアで溢れているかと思えば、辻褄が合わないなどの不安要素もあり、我々を不条理の恐怖へと導くのです。「アリス」が招くこの世界は、人々に錯覚をもたらし、刊行から約150年が経つ今も我々を不思議の迷宮へと誘い、謎を問いかけます。平衡感覚を失い、型にはまった常識や習慣も通じないこの国は、実は多くのジレンマを持つ現代人が求める、至福と夢の場所となっているのかもしれません。

本展は、この空想の少女に魅了された40余名の作家が、独自の解釈と感性から生み出す絵画から立体作品までを幅広く展開。不思議で可愛らしく、時には怖い不条理と幻想が入り交ったミステリアスな世界をお届します。「アリス」がうさぎを追いかけたように、「アリス」の後を追いかけてみませんか?

〈出品予定作家〉
アオガチョウ 浅野信二 味戸ケイコ 東逸子 亜由美 愛実 宇野亜喜良 大友暢子 小川香織 佳嶋 金子國義 木原未沙紀 黒木こずゑ 甲秀樹 児嶋都 沢渡朔 清水真理 J・テニエル 空山基 高田美苗 多賀新 高橋千裕 建石修志 たま 土井典 Toru Nogawa トレヴァー・ブラウン 中嶋清八 丹羽起史 野村直子 長谷川友美 樋上公実子 深瀬優子 町野好昭 三浦悦子 mican 宮崎郁子 向川貴晃 村田兼一 森馨 山本タカト 横田沙夜 吉田光彦

うわぁ!大好きな作家さんがいっぱい。そのきのこは幻想、異端、耽美って言葉も大好きです。非常にキノコ的な言葉でもありますよね。